今回はバンチャーク石油の35周年記念CM「Memories Are Not For Sell(思い出は売り物じゃない)」のストーリー概要と、動画内で使用されているセリフの中から日常で使えそうな表現をご紹介していきます。
タイ語がわからなくても概要を確認してから動画を見ればきっと楽しめますよ!
ストーリー概要|ビジネスマンがビルを買わずに、お弁当を買って帰った理由
学習のためにストーリーの結末まで解説しています。先に動画を楽しみたい方は、[こちら]から動画を見てから記事を読んでくださいね。
【起:黄金の立地と買収の提案】
不動産業者が「何をしても儲かる黄金の立地」と太鼓判を押す場所。
そこには一軒の古びた食堂が佇んでいました。ある日、ビジネスマン(ボス)がこのビルを買い取ろうと店を訪れます。彼が用意した提示額は、3,500万バーツ(約1億円以上)という巨額なものでした。
【承:3,500万バーツ と 35バーツ】
ボスが単刀直入に「売るのか?」と尋ねても、店主のおばちゃんは「話はあと。まずは食べていきな」と食事を勧めるばかり。
店内を見れば、学生には大盛りをサービスし、お金のない客には無料でスープを振る舞うなど、商売気は微塵も感じられません。
食後、ボスが改めて価格を問うと、おばちゃんは即答しました。「35バーツだよ」。 それはビルの売値ではなく、いま食べた料理の値段でした。
【転:おばちゃんの「利益」の定義】
「こんな安値で売って、一体なんの得(利益)があるんだ?」。呆れて問うボスに、おばちゃんは答えます。
「学生なら学費が払えるだろう。会社員なら貯金ができる。バイタクの運転手ならガソリン代が浮くじゃないか」
彼女にとっての「利益」とは、金銭のことではありませんでした。地域の人々の生活を支え、路上の野良犬さえもお腹いっぱい食べられること。それこそが彼女の追及する利益だったのです。
【結:買わなかったビル、買ったお弁当】
おばちゃんの哲学に触れたボスは、結局ビルの買収を諦めました。 その代わりに彼が買ったのは、たった35バーツのお持ち帰り弁当。持ち帰ったその箱には、利益追求で渇いていたボスの心を満たす、温かい「ご飯」が詰まっていました。
動画中に出てくる重要単語5選
ここでは動画のセリフで使われた単語を例文付きで解説していきます。動画を見て発音をチェックしてみてください。
1. ทำเล(タム・レー)...=立地、ロケーション
単語: ทำเล (tham-le / タム・レー) – [平声-平声]
意味: (ビジネスや居住のための)立地、場所、ロケーション
動画の冒頭、仲介人がこの場所を「黄金の立地(ทำเลทอง/タム・レー・トーン)」と呼び、商売に最適だとボスに勧めるシーンで登場しました。ビジネス会話や不動産探しで頻出の単語です。
【例文】
🇹🇭ร้านนี้ทำเลดีมาก ลูกค้าเยอะทุกวัน (ラーン・ニー・タム・レー・ディー・マーク、ルークカー・ユ・トゥック・ワン)
🇯🇵この店は立地がとても良くて、毎日お客さんが多い。
【関連語】
ทำเลทอง (タム・レー・トーン): 黄金の立地、一等地(直訳:金の立地)
ที่ดิน (ティー・ディン): 土地
2. ว่ากัน(ワー・ガン)...=話し合う、あとで決める
単語: ว่ากัน (wâa kan / ワー・ガン) – [下声-平声]
意味: 話し合う、対応する、(文脈により)あとで考える
おばちゃんがボスの「いくらで売るんだ?」という問いを遮り、「まずは食べて、話はあとで(เดี๋ยว่ากัน/クーイ・ワー・ガン)」と言うシーンです。保留にする時や、成り行きに任せる時によく使われる便利な口語表現です。
【例文】
🇹🇭เรื่องราคาเดี๋ยวค่อยว่ากัน (ルアン・ラーカー・ディアオ・コイ・ワー・ガン)
🇯🇵値段のことは、あとで話し合いましょう(あとで決めましょう)。
【関連語】
ว่า (ワー): 言う、叱る
กัน (ガン): お互いに(相互作用を表す助詞)
จะได้(ジャ・ダーイ)…=〜できるように、〜することになる
単語: จะได้ (jà dâai / ジャ・ダーイ) – [低声-下声]
意味: (結果として)〜できる、〜するようになる
おばちゃんが安く売る理由を説明する核心部分です。「安く売ることで(原因)→ 学生がお金を持てるようになる(結果)」という因果関係をつなぐ重要な文法です。「〜するために」という目的のニュアンスを含みます。
【例文】
🇹🇭รีบไปหน่อย จะได้ไม่ตกรถไฟ (リープ・パイ・ノイ、ジャ・ダーイ・マイ・トック・ロットファイ)
🇯🇵ちょっと急いで。電車に乗り遅れないように(=急げば乗り遅れずに済む)。
【関連語】
เพื่อ (プア): 〜のために(より直接的な「目的」を表す)
ได้ (ダーイ): できる、得る
4. หมด(モット)…=全て、なくなる
単語: หมด (mòt / モット) – [低声]
意味: 全て、全部、尽きる
「利益が残ったら全部子供にあげるの。全部ね」と強調するシーンで使われています。物が売り切れた時や、体力が尽きた時など、日常会話で非常に多用される単語です。
【例文】
🇹🇭วันนี้ขายหมดแล้วครับ (ワン・ニー・カーイ・モット・レーオ・クラップ)
🇯🇵今日はもう売り切れ(全部売れた)ました。
【関連語】
หมดแรง (モット・レーン): 力が尽きる、疲れた
ทั้งหมด (タン・モット): 全部で、合計
5. ฝาก(ファーク)...=預ける、(お土産を)ことづける
単語: ฝาก (fàak / ファーク) – [低声]
意味: 預ける、託す、(お土産として)買って帰る
物語のオチとなる、ボスが部下に「お弁当を買って帰る(買って行ってあげる)」と言うシーンです。「ซื้อ…มาฝาก(スー…マー・ファーク)」のセットで「〜をお土産に買ってくる」という定番フレーズになります。
【例文】
🇹🇭ซื้อขนมมาฝากหน่อยนะ (スー・カノム・マー・ファーク・ノイ・ナ)
🇯🇵お菓子をお土産に買ってきてね(=私に預けるつもりで買ってきて)。
【関連語】
ของฝาก (コーン・ファーク): お土産
ฝากเงิน (ファーク・グン): お金を預ける(預金する)
感想・分析|下町人情と資本主義マインドの懐かしい構図
■ 3,500万バーツ vs 35バーツ この動画の面白いところは、二人の見てる世界が全く違うところです。 「いくら儲かるか」で土地を見るビジネスマンと、「お腹いっぱいになったか」で人を見る食堂のおばちゃん。
普通なら話が通じず決裂しそうですが、最後に彼がお弁当を買って帰るシーンにはグッときます。資本主義が人情に「負けた」のではなく、乾いた心が「救われた」感じがして、とても温かい気持ちになれるんです。
■ 日本人が大好きな「あの感じ」 この展開、私たちにはすごく馴染み深いですよね。 『下町ロケット』や『深夜食堂』のように、冷徹な理屈やお金よりも、泥臭い「人情」や「職人魂」が輝くストーリー。
「便利さ」や「効率」が正義になりがちな現代だからこそ、国が違っても、こういうベタで温かい物語が心に刺さるのかもしれません。
■ 忙しい日々の「忘れ物」 最近はタイパやコスパばかり気にしちゃいますが、おばちゃんの「計算に合わない優しさ」を見てハッとしました。 私たちが忙しさの中に置き忘れてきた「人間らしさ」を、たった35バーツの食事が思い出させてくれる。そんな素敵なショートフィルムでした。


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